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フッ化ビニリデン系フッ素ゴムは、1950年代にデュポン社により開発された高性能ゴムで、乳化重合によって作られます。 | フッ化ビニリデン系フッ素ゴムは、1950年代にデュポン社により開発された高性能ゴムで、乳化重合によって作られます。 | ||
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2006年11月30日 (木) 15:58時点における版
英語
fluoro rubber
通称
FKM、viton(バイトン)、FR、FPM
解説
フッ素ゴムは、フッ素原子をもつ特異な性質を利用したゴムであり、ポリマーの骨格によって、フッ化ビニリデン系ゴムとテトラフルオロエチレン・プロピレン共重合体、フルオロシリコーンゴム、フルオロホスファセンゴムなどがあり、フッ化ビニリデン系が最も一般的です。
フッ化ビニリデン系フッ素ゴムは、1950年代にデュポン社により開発された高性能ゴムで、乳化重合によって作られます。
フッ素ゴムは、耐熱性、耐油性、耐侯性及び耐薬品性が他のゴムに比べて著しく優れており、200℃の高温でもほとんど劣化しません。そのため、約1万円/kgもする高価な材料にもかかわらず、自動車工業、化学工業、機械工業などで欠かせない素材となってきており、日本で約1500トンが使用されるようになっています。
フッ化ビニリデン系フッ素ゴム
特長は次のとおりです。
- 耐熱性が極めて優れている。200℃の高温でもほとんど劣化しない。
- 耐油性のほか、耐侯性、耐オゾン性、耐薬品性に優れている。
- 欠点としては耐寒性が悪く、価格が高い。
航空・宇宙や自動車の燃料関連ゴム部品、過酷な条件で使用されるOリング、オイルシール材、ガスケット、ブレーキ・キャップ、油圧ホースなど、化学工業におけるガスケット、ダイヤフラム、ライニングなどに使用されます。
テトラフルオロエチレン・プロピレンゴム
テトラフルオロエチレン・プロピレンゴムは、日本で開発された比較的新しいフッ素ゴムで、テトラフルオロエチレンとプロピレンを乳化重合して作られます。2種類のモノマーが交互に規則正しく配列した構造をとっており、有機過酸化物により加硫します。次のような特長があります。
- 耐熱性、耐候性、耐オゾン性に優れている。
- 耐薬品性が特に優れており、高温高濃度の酸、アルカリ、酸化剤にほとんど侵されない。
- エンジンオイル、ギヤー、トルコン油などに添加される薬品や、熱水、スチームに対する抵抗性が特に優秀。
- 極性溶媒や潤滑油には良いが、燃料油に対する耐油性は悪い。
過酷な条件で使用されるライニング、オイルシール、ガスケットなどに使用されます。
ほかに特殊なフッ素ゴムとして、フルオロシリコーンゴム、フルオロフォスファゼンゴムなどがあります。
参考文献
- 小松公栄 『おはなし科学・技術シリーズ ゴムのおはなし』 日本規格協会、第10版、2002年、110-112頁。